検査の合否を決める保安基準の条文(性能基準と、数値を定める告示)
車検は、車が道路運送車両の保安基準に適合しているかを検査するものです。保安基準の本則は、各装置に求める性能を書き、具体的な数値や測り方は「告示で定める基準」に委ねています。このページでは数値の基準(明るさ、排出ガスの許容値、制動力、部品の残量など)は示しません。数値を断定すると、車の種類や製作年による違いを見落とすためです。
| 検査で見られる項目 | 保安基準の条文 | 条文が求めていること(要約) |
|---|---|---|
| ヘッドライト(前照灯)の明るさ・向き | 第32条 | 走行用・すれ違い用の前照灯は、灯光の色、明るさ等と取付位置、取付方法等に関し告示で定める基準に適合すること |
| 排気ガス(ディーゼル車の黒煙を含む) | 第31条 | ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガスを多量に発散しないこと。排気管から出る一酸化炭素・炭化水素・窒素酸化物・粒子状物質・黒煙は、燃料の種別等に応じ告示で定める基準に適合すること |
| ブレーキ(制動装置) | 第12条 | 確実かつ安全に減速・停止でき、停止状態を保持できるものとして、制動性能に関し告示で定める基準に適合する二系統以上の制動装置を備えること |
| ハンドルまわり(かじ取装置) | 第11条 | 堅ろうで安全な運行を確保できるものとして、強度、操作性能等に関し告示で定める基準に適合すること |
| 警音器(クラクション) | 第43条 | 警音器を備え、警報音発生装置は音色、音量等に関し告示で定める基準に適合すること |
| 速度計・走行距離計 | 第46条 | 走行時の速度を運転者が容易に確認でき、著しい誤差がないこと |
| 車枠・車体 | 第18条 | 堅ろうで運行に十分耐えるものとして、強度、取付方法等に関し告示で定める基準に適合すること |
検査機器の測定項目の名前(光軸、サイドスリップなど)と、上の条文との細かい対応は、このページでは条文で確認していません。検査の細目は審査事務規程と告示にあります。
再検査で多い項目の例と、見積書に出る行の例
北海道運輸局が令和7年10月に公表した資料は、北海道の令和6年度の再検査が多い項目として次の例を挙げています。これは北海道の集計で、全国の内訳ではありません(割合の数字は下のページにあります)。
| 資料にある項目と例 | 見積書で対応しうる行の例(名称は依頼先により異なる) |
|---|---|
| 灯火類: ヘッドライトの明るさや向き、フォグランプの球切れ、ブレーキランプ・ウインカー・バックランプなど | ヘッドライトの光軸調整、バルブ交換、レンズの磨きや交換、灯火類の球交換 |
| 保安装置: 窓ガラスの規定外の標識・着色フィルム・吸盤、クラクション(鳴らない、音色、大きさ)、非常信号用具(発煙筒)の備え付けなし、ワイパー・ウォッシャーの損傷 | 警音器(ホーン)の交換、発煙筒の交換、ワイパーゴム・ウォッシャーの交換、フィルムの除去 |
| 車枠・車体: さびによる腐食、車体からタイヤが突出している、最大積載量の表示がない | 板金・溶接修理、最大積載量表示のステッカーの貼付 |
| その他危険な例として資料に掲載: ブレーキパイプの損傷によるブレーキ液漏れ、リーフスプリングの折れ、マフラーの損傷 | ブレーキパイプの交換、リーフスプリングの交換、マフラーの修理や交換 |
右の欄は、資料に書かれた不適合の例から、見積書でよく見る行の名前を当てはめたものです。資料に「この行が出る」と書かれているわけではありません。
不適合のときの見積書の読み方
- 事前の見積に出る追加整備と、検査後に出る行は別です。検査前に見積書へ載る整備は、点検の結果や依頼先の提案による行です。検査で不適合になってから加わる行は、保安基準に合わせるための整備として別に書かれます。追加整備を勧められたときの確認は追加整備を勧められたときの確認の順番にあります。
- 再検査の費用は2種類に分かれます。国に払う検査手数料(金額が決まっている)と、依頼先に払う整備や再検査の対応の費用(依頼先ごとに異なる)です。再入場の回数、限定自動車検査証の期間、再検査の手数料は車検に不合格になったらにあります。
- 項目が保安基準に適合しているかは検査で決まります。見積書の段階で、どの部品を交換すれば適合するかは、このページでは判定しません。部品の残量や交換時期の目安は、メーカーや整備工場の案内で確かめます。
- 検査を受けるときの状態の指定があります。国の検査場の案内は、排気管を排気ガス測定用プローブが挿入できる状態にすること、全ての車輪のホイールキャップや灯火器のカバー等を取り外した状態にすることなどを受検者に求めています。
- 窓ガラスの行は別のページで整理しています。ひびや飛び石の補修・交換の行の読み方はフロントガラスのひび・飛び石と車検の関係、見積のガラス補修・交換の行の仕分けにあります。
- 灯火類と外装の行も別のページで整理しています。ヘッドライト・ウインカー・ブレーキランプの交換や調整の行は灯火類の提案と見積の行の仕分け、ヘッドライト検査が不合格になったあとの行はロービーム測定と不合格時の見積の行の仕分け、傷・凹み・塗装の行は外装補修の提案と車検の合否の仕分けにあります。
ガソリン車のマフラー・触媒・O2センサー・排気管の行はガソリン車の見積に出る排気系の行と定期点検基準・検査の対応で整理しています。
改造した車や特殊用途車の見積に出る行の読み方は、改造車・特殊用途車の車検見積を参照してください。
オイル漏れ・にじみを指摘されたとき
エンジンや駆動系の漏れ・にじみの行の仕分けと、条文での位置づけはオイル漏れ・にじみの見積の行にあります。
よくある質問
Q. 検査で不適合になったとき、見積書にはどんな行が出ますか。
検査前の見積に載る追加整備は、点検の結果や依頼先の提案による行です。検査で不適合になってから加わる行は、保安基準に合わせるための整備として別に書かれます。再検査の費用は、国に払う検査手数料(金額が決まっている)と、依頼先に払う整備や再検査の対応の費用(依頼先ごとに異なる)の2種類に分かれます。
Q. 再検査の回数や期限は、どう決まっていますか。
自動車技術総合機構の案内では、当日の再入場は初回を含めて3回までです。限定自動車検査証を受けた場合の再申請は、発行日を入れて最大15日間の中で行います。再検査の手数料を含む詳しい条件は、上のページにあります。
Q. 見積書の段階で、どの部品を交換すれば検査に適合するか分かりますか。
このページでは判定しません。項目が保安基準に適合しているかは検査で決まります。部品の残量や交換時期の目安は、メーカーや整備工場の案内で確かめます。このページには数値の基準も載せていません。
このページでできること・できないこと
ここで示しているのは、保安基準の条文の範囲と、国の資料にある不適合の例です。個別の車の合否の予測、整備の要否、見積書の金額の妥当性は判定しません。
出典(確認日2026-10-08):
- e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」第11条・第12条・第18条・第31条・第32条・第43条・第46条https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800067
- 北海道運輸局 再検査・不合格の割合に関する公表資料(令和7年10月)別紙https://wwwtb.mlit.go.jp/hokkaido/content/000359695.pdf
- 自動車技術総合機構「審査の実施」https://www.naltec.go.jp/business/inspection/howto/flow/carryingout/index.html