見積書の行と細目告示第96条の対応
保安基準第15条第1項は、ガソリン・灯油・軽油・アルコールなど引火しやすい液体を燃料とする自動車の燃料装置が、強度・構造・取付方法について告示の基準に適合することを求めています。細目告示第96条第1項は、その基準を次のように書いています。
| 見積書の行 | 条文の文言(細目告示第96条第1項) | 読み方 |
|---|---|---|
| 燃料漏れの修理(タンク・配管・接手部) | 第1号ロ: 燃料タンク、配管又は接手部から燃料漏れがあるものは適合しない | 漏れがある状態が、合否の基準に直接書かれている。漏れの場所(タンク、配管、接手部)を見積書や説明で聞く |
| 燃料ホース・燃料パイプの交換 | 第1号本文: 燃料タンク及び配管は、堅ろうで、振動、衝撃等により損傷を生じないように取り付けられていること。同イ: 配管が走行中に他の部分と接触した痕跡があるもの又は接触するおそれがあるものは適合しない | 条文は「配管」と書き、ホースという語は使っていない。損傷、接触の痕、漏れのどの状態を根拠にした提案かを聞く。ひび割れの程度や使用年数の基準は条文にない |
| 燃料フィルター(燃料こし器)の交換 | 第96条の本文に、フィルターという語は確認できなかった | 名前がないので、合否の基準とは結びつかない。交換の時期はメーカーの整備書や工場の目安。ディーゼル車の場合はディーゼル車の見積のページに点検基準との対応がある |
| 燃料添加剤・燃料系洗浄(インジェクター洗浄、フューエルシステムクリーナー) | 第96条の本文に、添加剤、洗浄という語は確認できなかった | 任意の作業。見積書で車検の整備の行と別に書かれているか、何を目的にした作業かを聞く |
| (給油口まわり) | 第3号〜第6号: 燃料タンクの注入口及びガス抜口は、自動車の動揺により燃料が漏れない構造であること、排気管の開口部から300mm以上、露出した電気端子等から200mm以上離れていること、客室内に開口していないこと | 給油口の構造と位置の基準。給油口キャップやパッキンの交換の行は、第3号の「動揺により燃料が漏れない」にあたるかを聞く材料になる |
同告示第96条第2項は、型式の指定などを受けた車に付いている燃料タンク・配管と同一の構造・位置の燃料装置で、機能を損なうおそれのある損傷がないものは、第1項第1号・第2号に適合するとしています。純正と同じ構造の部品を取り付ける場合の扱いにあたります。
定期点検の基準にある文言: 燃料装置の「燃料漏れ」
自動車点検基準の定期点検(別表第6、自家用乗用車等)で、原動機の「燃料装置」について書かれているのは「燃料漏れ」の点検です(定期点検の項目一覧)。燃料フィルターの交換、ホースの交換、添加剤の投入は、点検の項目に名前がありません。
| 見積書の行 | 合否の基準(細目告示第96条) | 定期点検の項目 |
|---|---|---|
| 燃料漏れの修理 | あり(漏れがあるものは不適合) | あり(燃料漏れ) |
| 燃料ホース・配管の交換 | 配管の損傷・接触・漏れの文言あり(ホースの語はない) | 名前なし(「燃料漏れ」のみ) |
| 燃料フィルターの交換 | 名前なし | 名前なし |
| 燃料添加剤・燃料系洗浄 | 名前なし | 名前なし |
ホースや配管の項目を点検するか、交換するかは、点検の結果をもとに決める整備の作業です。点検の項目と交換の別は見積書の作業の言葉の意味、ホース類の点検はタイヤ・ホイール・ブレーキホース・排気管のページにあります。燃料装置とは別の保安基準の装置(ワイパー・ウォッシャー液・デフロスタ・ホーン)の行はワイパー・ホーンの見積の行と保安基準で条文との対応を確認できます。
よくある質問
Q. 燃料フィルターの交換は、車検に必要ですか。
細目告示第96条の本文にフィルターという語は確認できず、定期点検の項目にも名前がありません。交換の時期はメーカーの整備書や工場の目安です。提案の根拠が使用年数や走行距離だけなら、工場やメーカーの目安として扱います。
Q. 燃料漏れがあると、車検に通りますか。
細目告示第96条第1項第1号ロに、燃料タンク、配管又は接手部から燃料漏れがあるものは適合しないと書かれています。定期点検にも「燃料漏れ」の点検があります。漏れの場所(タンク、配管、接手部)を、見積書や説明で聞きます。
Q. 燃料添加剤や燃料系洗浄の行は、車検に必要ですか。
細目告示第96条の本文に、添加剤、洗浄という語は確認できませんでした。任意の作業です。見積書で車検の整備の行と別に書かれているか、何を目的にした作業かを聞きます。
見積書で聞くときの順番と、このページでできないこと
- 行名が、漏れの修理、ホース・配管、フィルター、添加剤・洗浄のどれにあたるかを確認する。
- 漏れの修理なら、どの場所から漏れていたかを聞く。条文にあるのは「タンク、配管又は接手部」の漏れ。
- フィルターと添加剤・洗浄は、条文に名前がないため、時期や必要性の根拠が使用年数や走行距離だけなら、工場やメーカーの目安として扱う。
ここで示しているのは、見積書の行と条文の文言の対応です。個別の車で燃料装置の整備が必要かどうか、提案の金額が妥当かどうかは判定しません。追加で勧められたときの確認は見積にない追加整備を勧められたときの確認の順番、行の種類の全体は行の種類別ページ案内にあります。
出典(取得・確認日 2026-10-12): e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」第15条、国土交通省道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第96条(燃料装置)、e-Gov法令検索「自動車点検基準」別表第6。