見積書の行と保安基準の条文の対応
保安基準の本則から、各装置の条文を確認しました。条文は装置を備えることと、性能や取付けの基準を告示で定めることを書いています。傷や汚れの程度のような細かい基準は、この本則にはありません。
| 見積書の行 | 条文の文言(保安基準) | 読み方 |
|---|---|---|
| シートベルト(座席ベルト)の交換・修理、警告灯・バックルの修理 | 第22条の3: 衝突等の衝撃を受けた場合に乗車人員を保護するため、座席ベルトを備える。座席ベルトが装着されていない場合に運転者席の運転者に警報する装置を備える(第5項)。取付装置・座席ベルトの構造は告示で定める基準に適合すること(第2項・第3項) | ベルト本体、取付装置、非装着の警報が条文に出てくる。ベルトが引き出せない、バックルが留まらないといった状態は、この条文に関わる。どの状態を根拠にした提案かを聞く |
| 運転席シートの修理(シートレールのがた・調整不良) | 第21条: 運転者席は、運転に必要な視野を有し、乗車人員、積載物品等により運転操作を妨げられないものであること | 条文が書いているのは運転者席の視野と運転操作を妨げないこと。座席の座り心地や表皮の傷みは書かれていない |
| ドアロック(ドアの施錠・開閉)の修理 | 第25条: 乗降口に備える扉は、衝突等による衝撃を受けた場合に容易に開放するおそれがないものであること | この条文が書いているのは衝撃で容易に開かない扉の構造。ドアロックのアクチュエーターが動かない、キーレスが反応しないといった故障そのものを直接定めた文言は確認できなかった |
| ステアリングロック・イモビライザー(盗難防止)の修理 | 第11条の2: 乗用車などの原動機、動力伝達装置、かじ取装置、制動装置などには施錠装置を備える。イモビライザーも告示の基準に適合すること | ここでの「施錠装置」は、ハンドルロックなど運行に必要な装置の機能を止めるもので、ドアの鍵とは別のもの。見積書の「ロック」の行が、どちらを指すかを聞く |
| ミラー(ドアミラー・ルームミラー)の交換、鏡面の割れ・ステー破損の修理 | 第44条: 後写鏡又は後方等確認装置を備える。運転者が運転者席で自動車の外側線付近及び後方の交通状況を確認できること、取付位置・取付方法も告示の基準に適合すること | 後方が確認できない状態(鏡面の割れ、角度の固定不良)が基準に関わる。電動格納やヒーターの不具合は、条文の文言には出てこない |
| 速度計・走行距離計の修理、交換 | 第46条: 運転者が容易に走行時の速度を確認でき、平坦な舗装路面での走行時に著しい誤差がない速度計を、運転者の見やすい箇所に備える。走行距離計も、著しい誤差がないものを備える | 表示されない、針が動かないといった状態が基準に関わる。誤差の許容範囲の数値は告示にあり、この本則には書かれていない |
| シートカバー・フロアマット・ミラーの社外品への交換(見た目や使い勝手) | 該当する文言は確認できなかった | 任意の作業。ミラーを社外品にする場合は、上の第44条の基準に適合するものかを聞く |
定期点検の項目にあるもの・ないもの
自動車点検基準の別表第3(事業用自動車等の定期点検基準)には、「座席」の欄に「座席ベルトの状態」があり、人の運送の用に供する自動車に限る印が付いています。一方、自家用乗用車等の別表第6の項目は、定期点検の項目一覧で確認できる範囲では、座席ベルト、ドアロック、ミラー、速度計の項目を含んでいません。警音器・窓拭き器・洗浄液噴射装置・デフロスタ・施錠装置の「作用」の点検はありますが、これは別の欄です。警音器・窓拭き器・洗浄液噴射装置・デフロスタの見積の行と保安基準の対応はワイパー・ホーンの見積の行と保安基準で確認できます。
- 点検基準に項目がないことは、その部品の不具合が車検で見られないという意味ではありません。合否は保安基準への適合で見られ、検査場で確認される項目は検査ラインで不適合になりやすい項目と見積の行にまとめています。
- 点検基準に項目があることは、使用年数や走行距離での交換時期を定めているという意味でもありません。
- 走行距離計を交換した車の見積書で、走行距離の欄をどの書類と突き合わせるかは走行距離計を交換した車の車検見積で整理しています。
よくある質問
Q. シートベルトやミラー、速度計の修理の提案は、車検の合否に関わりますか。
保安基準に条文があります。座席ベルトは第22条の3、ミラーは第44条、速度計は第46条で、引き出せない、後方が確認できない、表示されないといった状態が基準に関わります。どの状態を根拠にした提案かを依頼先に聞きます。個別の車で修理が必要かどうかは、このページでは判定しません。
Q. ドアロックが壊れていると、車検に通りませんか。
保安基準第25条が書いているのは、衝撃を受けたときに容易に開放しない扉の構造です。ドアロックのアクチュエーターが動かない、キーレスが反応しないといった故障そのものを直接定めた文言は、確認できませんでした。
Q. 定期点検の項目にない部品は、車検で見られないのですか。
点検基準に項目がないことは、不具合が車検で見られないという意味ではありません。合否は保安基準への適合で見られます。逆に、点検基準に項目があることも、使用年数や走行距離での交換時期を定めているという意味ではありません。
見積書で聞くときの順番と、このページでできないこと
- 行名が、シートベルト、ドアのロック(鍵)、ステアリングのロック、ミラー、速度計のどれにあたるかを確認する。
- 上の表の「条文の文言」のうち、どの状態(引き出せない、警報が出ない、後方が見えない、表示されない)を根拠にした提案かを聞く。
- 状態の根拠がなく、使用年数や好みの提案なら、任意の作業として扱う。車検の整備の行と、別に書かれているかを見る。
ここで示しているのは、見積書の行と条文の文言の対応です。告示にある数値の基準(速度計の誤差など)は、このページでは確認しておらず、個別の車で交換や修理が必要かどうか、提案の金額が妥当かどうかも判定しません。追加で勧められたときの確認は見積にない追加整備を勧められたときの確認の順番、行の種類の全体は行の種類別ページ案内にあります。
出典(取得・確認日 2026-10-12): e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」第11条の2・第21条・第22条の3・第25条・第44条・第46条、e-Gov法令検索「自動車点検基準」。