整備項目の参考情報

車検の見積でよく見る整備・装備項目について、国が定める法定基準がある項目と、業界の一般的な目安(法定基準ではない)を分けて説明します。

重要: 国が定める車検の合否基準(保安基準・審査事務規程)に、部品の残量を「◯mm以上」のように数値で定めた規定が存在する項目は多くありません。ほとんどの整備項目は、実際の性能検査や構造基準で合否が決まります。「一般的な目安」として示す数値は、整備業者や専門メディアが実務上の参考として挙げているものであり、法律で定められた基準ではありません。このサイトは「今すぐ交換すべきか」を断定しません。

法定基準がある項目

以下は、国土交通省の告示(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示)に具体的な数値・性能基準が明記されていることを一次資料で確認できた項目です。

タイヤの溝の深さ

法定基準: 「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第89条第4項第二号(2025年1月10日版)に、タイヤの滑り止めの溝は接地部の全幅にわたり「いずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあっては、0.8mm)以上の深さを有すること」と明記されています。この判定はウエア・インジケータ(スリップサイン)で行っても差し支えないとされています。

出典: 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第89条 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S089.pdf (確認日2026-09-07)

窓ガラスの可視光線透過率(フィルム等)

法定基準: 同告示第39条第3項第七号(2025年6月17日版)に、前面ガラス等にフィルムの装着・貼り付け・塗装をする場合、「運転者が交通状況を確認するために必要な視野の範囲に係る部分にあっては可視光線透過率が70%以上であることが確保できるもの」でなければ基準に適合しないと定められています。

出典: 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第39条 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S039.pdf (確認日2026-09-07)

前照灯(ヘッドライト)

法定基準: 同告示第120条(2025年6月17日版)に、走行用前照灯(ハイビーム)は「夜間にその前方100mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能」、すれ違い用前照灯(ロービーム)は「夜間にその前方40mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能」を有することと規定されています。

具体的な光度(カンデラ数)の下限値は、この告示条文からは確認できておらず、検査実務の審査事務規程等の別基準を確認する必要があります(未確認)。出典: 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第120条 https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/S120.pdf (確認日2026-09-07)

非常信号用具(発炎筒)

法定基準: 同告示第64条(2005年9月26日版)に、発炎筒は「JIS D5711『自動車用緊急保安炎筒』の規格又はこれと同程度以上の規格の性能」を有しないもの、および「損傷し、又は湿気を吸収したため、性能の著しく低下したもの」は基準に適合しないと規定されています。

見積でよく見る「発炎筒交換(有効期限4年)」の「4年」という数値は、この告示条文自体には明記されておらず、JIS D5711規格側の目安として広く案内されているものです(告示は性能基準を求めるのみ)。出典: 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第64条 https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_064_00.pdf (確認日2026-09-07)

制動装置(ブレーキ)の構造基準

法定基準: 同告示第93条(使用過程車向け、2008年7月7日版)は、独立して作動する2系統以上の制動装置を備えること、配管等から液漏れ・空気漏れがないこと、ブレーキ・ペダルに適正な遊びがあること等の構造・機能基準を定めています。

部品(ブレーキパッド等)の残量を「◯mm」で定めた数値規定はこの告示に確認できませんでした。車検時の合否は、これらの構造基準に加えて別途の性能試験(制動力の測定)で判定されます。出典: 国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第93条 https://www.mlit.go.jp/jidosha/kijyun/saimokukokuji/saikoku_093_00.pdf (確認日2026-09-07)

一般的な目安の項目(法定基準ではない参考情報)

以下は、整備業者・専門メディアが実務上の参考として挙げている目安です。国が定めた法定の合否基準ではありません。出典: norico(運営: 株式会社IDOM、監修: 整備士ヒロ・2級整備士、記事更新日2022-07-25)https://221616.com/norico/parts-replacement/ 、確認日2026-09-07。車種・使用状況により大きく異なります。

ブレーキパッド

一般的な目安: 残量が3mm以下になったら交換を検討、走行距離では約5万km前後で交換時期を迎えることが多いとされています。

バッテリー

一般的な目安: 約3年前後(使用環境により1〜2年、5〜7年になる場合もある)。走行距離・気温・電装品の使用量によって大きく変わります。

エンジンオイル

一般的な目安: 走行3,000〜5,000km、または半年〜1年ごと。

オイルフィルター(オイルエレメント)

一般的な目安: エンジンオイル交換2回に1回、または走行1万kmごと。

ブレーキオイル(ブレーキフルード)

一般的な目安: 車検ごと(2年ごと)の交換が案内されることが多いです。

ラジエーター液(LLC・冷却水)

一般的な目安: 7〜11年、または走行16〜22万km。製品・メーカーにより差があります。

エアクリーナーフィルター

一般的な目安: 走行3〜4万kmごと。

ワイパーゴム・ブレード

一般的な目安: 1年ごと。拭き取り不良やビビり音が出た場合は随時交換が案内されます。

スパークプラグ

一般的な目安: ノーマルタイプで走行2万km、イリジウム等の貴金属タイプで走行8〜10万km。

ファンベルト(補機ベルト)

一般的な目安: 走行5万〜10万km。複数の整備業者解説記事による目安で、横断的な一次統計は確認できていません。

ATF(オートマオイル)

一般的な目安: 走行2万〜5万kmごと。車種・メーカーによる差が大きく、無交換を推奨する車種もあります。取扱説明書での確認が推奨されます。

マフラー

一般的な目安: 年数・走行距離での一律の交換目安は一般的ではありません。錆・穴あき・遮熱板のがたつき等、損傷や異音が見られた場合に交換を検討するのが実務上の一般的な考え方です。なお、マフラーは保安基準上の騒音防止装置の基準(近接排気騒音等)を満たす必要がありますが、具体的な数値基準は今回未確認です。