見積書の行と定期点検基準(別表第6)の項目の対応表
自動車点検基準の別表第6(自家用の乗用車・軽自動車などの1年・2年ごとの点検)を調べると、ブーツ・ショックアブソーバ・オイル漏れ・ブレーキの摩耗は項目に書かれています。一方、「ブッシュ」「ゴムマウント」という語は書かれていません。条文に名前がないことは、交換が不要という意味でも必要という意味でもありません。点検基準が決めているのは点検する箇所と内容で、年式や走行距離が増えたら交換するという定めはこの表にありません。
| 見積書の行(例) | 条文で名前がある項目(別表第6) | 点検の時期 |
|---|---|---|
| ドライブシャフトブーツ・ボールジョイントブーツ(ゴムのカバー)の交換 | 「ボール・ジョイントのダスト・ブーツの亀裂及び損傷」(ロッド及びアーム類)、「自在継手部のダスト・ブーツの亀裂及び損傷」(プロペラ・シャフト及びドライブ・シャフト) | 2年ごと |
| ショックアブソーバの交換 | 「油漏れ及び損傷」(ショック・アブソーバ) | 2年ごと |
| サスペンションのブッシュ・ゴムマウント・アームの交換 | 「ブッシュ」「マウント」の語は無い。近い欄は緩衝装置の「取付部及び連結部」の「緩み、がた及び損傷」だが、ブッシュがこの欄に入るかは条文から読み取れない | 2年ごと |
| エンジンオイル漏れ・オイルシールの交換 | 「油漏れ」(原動機の潤滑装置) | 1年ごと |
| ミッションオイル・デフオイルの漏れ | 「油漏れ及び油量」(トランスミッション及びトランスファ=1年ごと、デファレンシャル=2年ごと) | 1年ごと・2年ごと |
| パワーステアリングの油漏れ・ホースの交換 | 「油漏れ及び油量」「取付けの緩み」(パワー・ステアリング装置) | 2年ごと(ベルトの緩み及び損傷は1年ごと) |
| ブレーキホース・ブレーキパイプの交換 | 「漏れ、損傷及び取付状態」(ホース及びパイプ) | 1年ごと |
| ブレーキパッド・ブレーキシュー・ディスクローター・ドラムの交換 | パッド・シューライニングの摩耗は1年ごと、ディスク・ドラムの摩耗及び損傷は2年ごと | 1年ごと・2年ごと |
| ブレーキのキャリパ・マスターシリンダ・ホイールシリンダのオーバーホール | 「液漏れ」(1年ごと)、「機能、摩耗及び損傷」(2年ごと) | 1年ごと・2年ごと |
| ファンベルト・パワステベルトの交換 | 「ファン・ベルトの緩み及び損傷」(冷却装置)、「ベルトの緩み及び損傷」(パワー・ステアリング装置) | 1年ごと |
| ラジエーターホースの交換、冷却水漏れの修理 | 「水漏れ」(冷却装置)。ホースの語は無い | 1年ごと |
この表の「項目」は点検(状態・漏れ・摩耗・損傷の確認)の項目です。見積書の「交換」「オーバーホール」「修理」は、点検で見つかった状態への整備の作業で、点検基準の項目としては書かれていません。点検と交換の言葉の違いは見積書の作業の言葉の意味にあります。別表第6の項目がどの車に当てはまるかは、貨物・商用車の車検見積で乗用車と変わる項目で整理しています。
見積書と読み合わせるときの注意
- 項目に名前があっても、合否の基準とは限りません。点検基準は点検する箇所と内容の定めで、交換の時期や部品の残量の数値は書かれていません。合否の基準は保安基準側にあり、項目によって違います。たとえばドライブシャフトのブーツは、告示に損傷があるものは基準に適合しないという定めがあります(根拠はドライブシャフトブーツ)。ブレーキは部品の残量でなく制動の性能で見られ(制動装置の構造基準)、ブッシュのように条文に名前がない部品は、この表からは基準の有無を読み取れません。
- 「走行距離10万kmで交換」「10年で交換」は業者やメーカーの目安です。整備工場の案内やメーカーの整備書にある年数・距離の目安は、車検の合否を決める法令の基準ではありません。目安の出どころは整備項目の参考情報(ドライブシャフトブーツ・ブレーキパッド・ブレーキオイル・ファンベルト)で、出典と確認日つきで読めます。
- 「オイルのにじみ」と「漏れ」は見積書の書き方が分かれ得ます。条文は「油漏れ」と書くだけで、にじみと漏れの境目や、どの程度で交換や修理が必要かは書いていません。見積書に「漏れ」とある行は、どの部位から、どの程度のものを指すか、整備工場に確認する手がかりになります。
- 古い車だから項目が増えるわけではありません。点検の項目は、年式や走行距離でなく、車の種類(自家用乗用・貨物・事業用など)で決まります。見積の行が多いときは、点検の行か、点検で見つかった状態への整備の行かを分けて読みます。
- 法定費用ではありません。これらの交換・修理・補充は、検査手数料・重量税・自賠責保険料とは別に、依頼先が設定する整備の費用です(仕分けの考え方は車検見積書の費目チェックリスト)。
関連するページです。交換を勧められたときの確認は見積にない追加整備を勧められたときの確認の順番、点検項目の全体は定期点検の項目一覧(1年ごと29項目・2年ごと60項目)、検査で不適合になった場合は検査ラインで不適合になりやすい項目と見積の行の対応で説明しています。ブレーキ・オイルの交換の考え方はブレーキ・オイル類の点検と交換、足まわりは足まわりの点検と交換も参照できます。ブッシュ・マウントなど部品名だけの行は部品名だけの行の読み方にあります。
下回りや車体のサビ・腐食を指摘されたときの行は下回り・車体のサビ・腐食の指摘と見積の行の仕分けで確認できます。
車の種類ごとの見積の行の出方は車の種類別に見積の行の出方を比べる一覧で並べて確認できます。中古車を購入して車検整備付きの見積を受け取った場合は車検整備付きの中古車の見積で整備費用と法定費用が分かれる行も参照できます。
よくある質問
年式が古い車や走行距離の多い車は、見積の行が増えますか。
年式や走行距離そのものでは、点検の項目は増えません。点検の項目は車の種類(自家用乗用・貨物・事業用など)で決まります。行が多いときは、点検の行か、点検で見つかった状態への整備の行かを分けて読みます。
「10万kmで交換」「10年で交換」と言われました。車検の基準ですか。
業者やメーカーの目安であり、車検の合否を決める法令の基準ではありません。目安の出典と確認日は整備項目の参考情報で読めます。
ブッシュやゴムマウントの交換は、点検基準に書かれていますか。
別表第6に「ブッシュ」「マウント」の語はありません。条文に名前がないことは、交換が不要という意味でも必要という意味でもありません。部品名だけの行の読み方は部品名だけの行の読み方にあります。
このページでできること・できないこと
ここで示しているのは、法令に書かれた点検の項目の範囲です。個別の車でブーツ・ショックアブソーバ・ブッシュ・オイルシールなどの整備が必要かどうか、見積書の金額が妥当かどうかは判定しません。別表第6以外(6か月ごとに点検する貨物車など)は、このページでは扱いません。
出典(確認日2026-10-08):
- e-Gov法令検索「自動車点検基準」別表第6https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070
- e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800067