クラッチまわりの交換の行と、定期点検基準(別表第6)の項目の対応表
自動車点検基準の別表第6(自家用の乗用車・軽自動車などの1年・2年ごとの点検)で、動力伝達装置の「クラッチ」に書かれている項目は、「ペダルの遊び及び切れたときの床板とのすき間」の1つです。ペダルの遊びとすき間の点検で、クラッチ板の摩耗やクラッチフルードの量は、別表第6には書かれていません。トランスミッションは「油漏れ及び油量」(1年ごと)です。
| 見積書の行(例) | 条文で名前がある項目(別表第6) | 点検の時期 |
|---|---|---|
| クラッチペダルの遊び調整 | 「ペダルの遊び及び切れたときの床板とのすき間」。調整の作業は見積書の作業の言葉の「調整」に当たる | 1年ごと |
| クラッチ板(ディスク)・クラッチカバー交換 | 項目に無い(摩耗や交換の定めは別表第6に無い) | なし |
| レリーズベアリング交換 | 項目に無い | なし |
| クラッチフルード交換・エア抜き | 項目に無い(液量の点検は、別表第3と別表第5のクラッチにあり、別表第6には無い) | なし |
| ミッションオイル・MTオイル交換 | 「油漏れ及び油量」(トランスミッション及びトランスファ)。交換は項目に無い | 1年ごと |
別表第6の注で、トランスミッションの「油漏れ及び油量」の点検は、前回の点検から走行距離が1年当たり5千km以下の自動車は、前回の点検を行うべき時期に行わなかった場合を除き、行わないことができるとされています。クラッチのペダルの遊びの項目には、この注の印がありません。
見積書のどの行に出るか
日整連(日本自動車整備振興会連合会)の説明では、部品代と油脂代は「部品、油脂代」、交換する作業は「整備技術料」と、別の費目として説明されています(部品・油脂の12品目)。そのため、クラッチ板やレリーズベアリングの交換は、見積書で部品の代金と交換の作業料の2行に分かれたり、1行にまとまったりして出ます。どちらの書き方かは依頼先によります。
- クラッチ板の交換は、作業の範囲が大きい行です。道路運送車両法施行規則第3条は、クラッチなどの装置を「取り外して行う自動車の整備又は改造」を分解整備として定めています(取り外しの言葉の扱い)。取り外しなどの付随する作業の料金が、クラッチ板の作業料の中に入っているか、別の行かは、依頼先に聞いて確かめます。
- レリーズベアリングなどは、同時交換の提案として出ることがあります。クラッチ板と同時に交換する部品を提案される場合は、部品ごとの金額と、同時に行う理由を確かめます。
- 法定費用ではありません。検査手数料・重量税・自賠責保険料とは別に、依頼先が設定する整備の費用です(仕分けは費目チェックリスト)。
- 交換が車検の合否の条件になるとは、この表から読み取れません。点検基準のクラッチの項目はペダルの遊びとすき間で、交換を求める定めではありません。交換の時期の目安は、メーカーの整備書にあり、車種や使い方で大きく違います。
確認の質問の例:「この行は、点検でペダルの遊びやクラッチの滑りなどの症状が見つかった整備ですか、それとも距離や年数の目安での交換ですか。」「クラッチ板、カバー、レリーズベアリングのうち、見積に入っている部品はどれですか。」「取り外しなどの付随する作業の料金は、この行に含まれていますか。」
関連ページ
ミッションオイル・ATF・デフオイルの交換の行はATF・CVTフルード・ミッションオイル・デフオイルの交換が出る行に、点検の項目の全体は定期点検の項目一覧に、勧められた整備を承諾する前の確認は見積にない追加整備を勧められたときの確認の順番にあります。走行距離が多い車の見積全体は古い車・走行距離の多い車の車検見積に出る整備項目で整理しています。
よくある質問
Q. クラッチ板の交換は、車検の合格に必要ですか。
このページの表から、クラッチ板の交換が車検の合否の条件になるとは読み取れません。自動車点検基準の別表第6でクラッチについて名前がある項目は「ペダルの遊び及び切れたときの床板とのすき間」だけで、クラッチ板(ディスク)の摩耗や交換は書かれていません。交換時期の目安はメーカーの整備書にあり、使い方で大きく変わります。
Q. クラッチフルードの交換や点検は、定期点検基準にありますか。
自家用乗用自動車等の別表第6のクラッチの項目には、液量の点検がありません。事業用自動車等の別表第3と自家用貨物自動車等の別表第5のクラッチには「液量」があります。自家用乗用車等の見積にクラッチフルードの行が出たときは、点検基準の項目とは別の、依頼先の提案として内容を確認します。
Q. クラッチまわりの交換は、見積書でどの行に出ますか。
日整連の説明では、部品の代金は「部品、油脂代」、交換の作業は「整備技術料」と別の費目です。クラッチ板などは部品と作業料の2行に分かれたり、1行にまとまったりします。どちらの書き方かは依頼先によるため、それぞれの金額を確かめます。
このページでできること・できないこと
ここで示しているのは、法令に書かれた点検の項目の範囲です。個別の車でクラッチの交換が必要かどうか、見積書の金額が妥当かどうかは判定しません。クラッチ板の摩耗の数値の目安は、このページでは扱いません。別表第6以外(6か月ごとに点検する貨物車など)も扱いません。
出典(確認日2026-10-14):
- e-Gov法令検索「自動車点検基準」別表第3・別表第5・別表第6https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070
- 日本自動車整備振興会連合会「車検・定期点検時の一般的な料金項目【自家用乗用車】」https://www.jaspa.or.jp/member/explanation/fee01_07.html(部品・油脂代と整備技術料の区分は部品・油脂の12品目の出典欄を参照)