最低地上高9cmの測り方と例外、見積の車高調整の行の読み方

車検で見られる最低地上高の基準(9cm以上)と、測定条件・例外を細目告示第163条の条文で確認し、見積書の車高調整、アンダーカバー、ローダウン関連の行と照らしました。

基準は保安基準第3条と細目告示第163条

保安基準第3条は、接地部以外の部分が、安全な運行を確保できるように地面との間に告示で定める間げきを持つことを求めています。その告示が細目告示第163条です。同条は、全体の考え方を「地面との間に適当な間げきを有すること」としたうえで、次のどれかに当たる地上高は基準に適合するとしています。

つまり、純正と同じ状態の車は、この数値の測定が前提になりません。数値で測られるのは、車高を下げる改造がされた車です。

数値と測定条件(細目告示第163条)

項目条文の内容読み方
全面の地上高9cm以上車検の最低地上高としてよく知られる数値の根拠は、この文言。
軸距間(前輪と後輪の間)H=Wb×1/2×sin2°20′+4(Wbは軸距cm、正弦は0.04として計算)軸距が長い車ほど、車の中央付近に求められる高さの下限が変わる式。
前輪より前・後輪より後ろH=Ob×sin6°20′+2(Obは前軸または後軸から測る位置までの距離cm、正弦は0.11として計算)バンパー下端などのはみ出した部分に使う式。
車の状態空車状態、タイヤの空気圧は規定値荷物や乗員を載せた状態の高さではない。
車高調整装置がある場合標準(中立)の位置。任意の位置で保持できる装置は、最低位置と最高位置の中間最も下げた状態で測るのではなく、中間で測る定め。
測り方舗装された平面で巻き尺等を使い、1cm未満は切り捨て9.9cmと測れても「9cm」として扱われる。
測定から除く部分タイヤと連動して上下するブレーキ・ドラムの下端やロア・アーム等の下端、自由度を有するゴム製の部品、樹脂製のマッドガード・エアダムスカート・エアカットフラップ等樹脂製のエアロパーツの下端が低くても、この定めでは測定の対象から外れる。

例外: 衝撃に耐える構造・アンダーカバーがある部位

条文は、接地部以外の部分が路面等に接触した場合に、構造と保安上重要な装置が衝撃に十分耐える構造のもの、または、それらを保護するアンダーカバー等が付いている構造のものは、その部位の地上高について、全面9cmの数値を5cm以上と読み替えて適用するとしています(軸距間と前後の式は同じ)。

見積書に「アンダーカバー脱着」「アンダーカバー交換」の行は、外す作業なのか、損傷した部品の交換なのかで意味が変わります。この例外が使えるかは、その部位が保護された構造かどうかで決まるため、行の名前からは判断できません。

見積書の行と、条文の対応

見積書の行条文との関係聞くこと
車高調整、車高の調整料車高調整装置がある車は、中間位置で測る定め。調整後の高さが9cm以上かを見る作業にあたる可能性があるどの位置で、何cmと測った結果の調整か。測定値を教えてもらえるか
ローダウンサス・ダウンサスの純正戻し最低地上高が低くなる改造をした車が数値の測定対象。純正の状態に戻す作業は、その前提が変わる戻す目的が最低地上高の不足か、乗り心地かなど、根拠は何か
アンダーカバー脱着・交換例外の読み替え(5cm以上)の対象になり得る部品脱着が点検のためか、損傷の交換か
エアロパーツ・エアダムの交換樹脂製のエアダムスカート等は測定から除かれる定め車検の合否のためか、見た目の補修か
アライメント調整最低地上高の条文には出てこない行。調整の行の読み方はアライメント・サイドスリップのページを参照車高の変更と関係する調整か

よくある質問

Q. 車検の最低地上高は、何cm以上ですか。

細目告示第163条の全面の地上高は9cm以上です。ただし、型式の指定を受けた車などと同一と認められる自動車は、この数値の測定が前提になりません。数値で測られるのは、最低地上高が低くなる改造がされた車などです。

Q. 車高調整装置がある車は、どの位置で測りますか。

標準(中立)の位置で測ります。任意の位置で保持できる装置は、最低位置と最高位置の中間です。最も下げた状態で測るのではありません。

Q. 測った高さの端数は、どう扱われますか。

1cm未満は切り捨てです。9.9cmと測れても「9cm」として扱われます。測定は、空車状態、タイヤの空気圧は規定値の舗装された平面で行います。

Q. 見積の「アンダーカバー脱着・交換」の行は、最低地上高に関わりますか。

接地部以外の部分が衝撃に十分耐える構造のもの、またはアンダーカバー等で保護された構造のものは、その部位の地上高について9cmを5cm以上と読み替える例外があります。例外が使えるかは部位の構造で決まるため、行の名前からは判断できません。脱着が点検のためか、損傷の交換かを聞きます。

このページでできないこと

ここで示しているのは、見積書の行と条文の文言の対応です。個別の車が9cm以上かどうか、検査に通るかどうか、車高を変えた車に構造等変更検査が必要かどうかは判定しません。車高を変えたときの寸法や重量の変更の扱いは寸法・重量が変わる部品の軽微な変更の範囲で、改造のある車の見積の見方は改造・特装のある車のページで確認できます。検査で不適合になる項目の一覧は検査で不適合になる項目のページにあります。

出典(取得・確認日 2026-10-13): e-Gov法令検索「道路運送車両の保安基準」第3条、国土交通省道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第163条(最低地上高)。

このサイトは、車検の見積に関する一般的な情報を提供するものであり、個別の車の点検整備の要否を判定・保証するものではありません。実際の扱いは整備工場と国土交通省の案内でご確認ください。