症状から、見積の行と点検基準の項目を引く
異音・振動・ガタなどの症状で整備工場に出したとき、見積書には「エンジンマウント交換」「ホイールベアリング交換」のように部品名の行が並ぶことがあります。同じ症状でも、原因の部品は点検してみないと分かりません。このページは症状から原因を当てるものではなく、見積書の行が自動車点検基準(別表第6、自家用乗用自動車等の定期点検基準)のどの点検項目に関わるかを引く表です。
| 気づく症状の例 | 見積書に出ることがある行の例 | 別表第6の点検項目(時期) | 見積で聞くこと |
|---|---|---|---|
| ハンドルがぶれる・まっすぐ走りにくい | ステアリング関連、アライメント調整、タイロッドエンド | ハンドルの操作具合/ロッド及びアーム類の緩み、がた及び損傷/ホイール・アライメント(2年ごと) | どの点検の結果で、その行が出たのか |
| 段差でコトコト音がする・足まわりがぐらつく | ショックアブソーバ交換、ロアアームブッシュ交換 | ショック・アブソーバの油漏れ及び損傷/緩衝装置の取付部及び連結部の緩み、がた及び損傷(2年ごと)。「ブッシュ」という語の項目はありません | 点検記録簿のどの項目の結果か。ブッシュだけの交換か、部品一式か |
| 走行中、速度に合わせて唸るような音がする | ホイールベアリング交換 | フロント・ホイール・ベアリングのがた/リヤ・ホイール・ベアリングのがた(2年ごと) | 前輪か後輪か、左右どちらか |
| アイドリングや発進時に車体が震える | エンジンマウント交換 | 「マウント」という語の項目は、自動車点検基準にありません | 点検のどの結果を受けた行か、見積書に書いてあるか |
| タイヤまわりの油や破れの跡を指摘された | ドライブシャフトブーツ交換、ボールジョイントブーツ交換 | ボール・ジョイントのダスト・ブーツ/ドライブ・シャフトの自在継手部のダスト・ブーツの亀裂及び損傷(2年ごと) | 亀裂の有無を写真や現物で見せてもらえるか |
ここに載せた症状と行の組は、見積書で見かける例を挙げたもので、その症状ならその部品が原因だと言うものではありません。
表の読み方
- 点検の項目にある行は、点検の状態を見る項目の名前です。別表第6には、ショック・アブソーバやホイール・ベアリングなどの「状態を点検する」項目が書かれていますが、交換する作業や交換の時期は書かれていません(ショックアブソーバ・ステアリング・ブーツの整理)。
- 「項目なし」は、見積の行が不要という意味ではありません。エンジンマウントのように点検基準に同じ名前の項目がない部品でも、点検の結果を受けて依頼先が提案する整備の行になります。そのときは、何を確認して提案に至ったのかを聞く材料になります。
- 異音は、定期点検でなく日常点検の項目です。自動車点検基準で「異音がないこと」と書かれているのは、日常点検基準(別表第2)の原動機の項目「原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないこと」で、定期点検基準の別表第6には「異音」という語がありません。
- 点検時期は、1年ごとと2年ごとで分かれます。上の表の項目は、別表第6の「2年ごと(1年ごとの点検に次の点検を加えたもの)」の側にあります。車検のない年の12ヶ月点検の見積に載る交換の行は、点検基準の項目とは別に依頼先が提案する整備の行です。
見積書の行が部品名だけのときの読み方はブッシュ・マウント・ベアリングの行の読み方、追加整備を勧められたときの質問の順番は追加整備を勧められたときの確認の順番にあります。
注意すること
- 症状から原因の部品は決まりません。同じ振動でも原因は複数あり得ます。点検の結果に基づく依頼先の説明を聞いてください。
- 交換の要否と費用の妥当性は判定しません。「交換が必要か」「車検に通るか」は、このページでは示しません。ドライブシャフトブーツと保安基準の関係は整備項目の参考情報にあります。
- 法定費用ではありません。これらの整備は、検査手数料・重量税・自賠責保険料とは別に、依頼先が設定する整備の費用です(車検見積書の費目チェックリスト)。
よくある質問
Q. 異音や振動があるときは、見積書のどの行が原因ですか。
症状から原因の部品は決まりません。同じ振動でも原因は複数あり得るため、点検の結果に基づく依頼先の説明を聞く必要があります。このページの表は、見積書の行が自動車点検基準のどの項目に当たるかを引くもので、症状から原因を当てるものではありません。
Q. 点検基準に項目がない「エンジンマウント交換」の行は、不要な行ですか。
不要とは言えません。エンジンマウントのように、点検基準に同じ名前の項目がない部品でも、点検の結果を受けて依頼先が整備の行として提案することがあります。このページでは交換の要否は判定しないので、何を確認して提案に至ったのかを、見積書の記載や依頼先の説明で確かめます。
Q. 見積書の交換の行について、依頼先に何を聞けばよいですか。
表の右端の列にある質問が目安です。どの点検の結果でその行が出たのか、点検記録簿のどの項目の結果か、前輪か後輪か左右どちらか、亀裂などを写真や現物で見せてもらえるか、部品一式かその一部だけの交換か、を聞けます。交換が必要かどうかや費用の妥当性は、このページでは示しません。
このページでできること・できないこと
ここで示しているのは、自動車点検基準の別表第6と別表第2に書かれている点検の項目と、見積書の行の対応の例です。個別の車の症状の原因の判断、交換の要否、見積の費用の妥当性は判定しません。
出典(確認日2026-10-12):
- e-Gov法令検索「自動車点検基準」別表第6(自家用乗用自動車等の定期点検基準)・別表第2(自家用乗用自動車等の日常点検基準)。「マウント」「ブッシュ」の語は同基準の本則・別表のいずれにも見当たりません https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070